下記の2演題発表しました。
【演題1】
「高齢運転者の運転技能に関する自覚アンケート調査」
【要旨】
愛媛県松山市において、認知症セミナーに参加した市民100名に対して、記入式アンケートを実施した。88名から回答を得た。今般の高齢運転者が起こした交通事故に関しては、高い関心を示す一方で、自身の運転技術については自信を持つ高齢者が男性に多かった。若い世代では運転を早期に止めるつもりと答える傾向であった。運転を止める契機としては、免許更新時の認知機能検査を挙げたものが多く、次いで、医師から注意されたとき、事故を起こしたとき、と続いたが、止めるつもりはないと回答したものもあった。物忘れなどの自覚があっても、認知症と診断されて運転中止を勧告されることを恐れて、受診をためらうとの回答も多く、早期受診の抑制につながっている現状が窺えた。
【演題2】
「Trail Making Test実施により、運転技術低下との関連が示唆された軽度認知機能低下の1例」
【要旨】
運転技術への不安を感じて自ら受診した73歳男性を経験した。日常生活に支障はなく、Mini-Mental State Examination(MMSE)では健常域であったが、Trail Making Test(TMT)において、顕著に障害を認めた。
頭部MRIでは明らかな脳萎縮等を認めなかったが、脳血流シンチでは、後部帯状回から頭頂連合野にかけての血流低下を指摘され、軽度認知機能低下と考えられた。運転免許に係る診断書で必須とされるMMSEでは明らかにならなかったが、運転に係る簡易な神経心理学的検査として注目されているTMTの有用性が示唆された事例であった。